家政婦さんの歴史は長く、市民生活に根付いた職業でありますが、現在では一般の職業紹介や派遣等に関わる職業の一つとして位置づけられています。労働法の多くが会社勤務の労働条件や労働組合の関りを規定しますが、家政婦さんも立派な労働者の一人です。
そこで、参考に家政婦さんに係る関連法規をまとめてみました。

(1)日本国憲法
労働について憲法上もきちんとした条文があります。まず憲法第22条で、何人も職業選択の自由を有しますと宣言されています。また、第27条ではすべての国民は勤労の権利を有し、義務を負うとしています。労働者のさまざまなニーズを満たすために、職業紹介は雇用確保および職業選択の自由の保障のためにあります。

(2)職業安定法
労働基準法と同じ昭和22年に制定された法律で、昭和24制定の労働組合法より古い法律です。この法律は、本来「使用者」と「労働者」による雇用関係に紹介所と言う仲介業の存在を定めたものです。
職業安定法第30条により、有料の職業紹介所として厚生労働大臣の許可を受けた事業者が家政婦等の斡旋を行うことができます。この許可なしには基本的に他人に仕事をあっせんすることはできません。これは歴史的に多数の労働者を集めて、仕事現場に斡旋し暴利をむさぼったということで、そのような不当なことが起きないように斡旋を国の管理下に置いたという経緯があるからです。
職業安定法4条により、「職業紹介」とは、求人と求職それぞれの申し込みを受けて求人者と求職者の雇用関係を斡旋することです。その事業者として、有料職業紹介所のほかに、無料職業紹介所(学校等)や公共職業安定所(ハローワーク)があります。

(3)労働契約法
平成19年に制定された労働契約法は、これまでばらばらであった労働契約を統一させるものであり、この原則は家政婦さんたちが仕事をする上でも重要な決まりです。すなわち家政婦さんと使用者が雇用関係を結ぶ場合に、この法律に基づいて両者間の理解のうえ合意をし、そして契約の順守と信義誠実な履行と、利己的な権利濫用の防止をうたっています。

(4)労働基準法
会社の社員である一般労働者にとっては、最も重要な法律が労働基準法です。しかし、家政婦さんは法律上は家事労働であり労働基準法の枠外です。それでも、労働基準法の精神はどのような労働であっても根本原理とするものです。ちなみに労働基準法第6条により、普通では許可されない職業紹介業が承認されています。

(以上)

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