令和6年度施設運営方針
新型コロナウイルスが世界中に蔓延してから5年目を迎えました。国は昨年5月8日から新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けを、「2類」から「5類」に引き下げました。それによって、我々の意識にも少しずつ変化が見られ、感染症が「なくなる」のではなく、「上手に向き合おう」という姿勢に変わった気がします。世界中の人々が日々移動して、日常生活、経済が回っているいるのですから、完全になくなるのは難しいと思います。それが、「お盆」「正月」等の季節の行事によって増えたり減ったりを繰り返しているといった感じでしょうか・・・。私達も神経質にならず、マニュアルに沿って感染対策に気をつけながら、ご利用者様の充実した安全・安心な生活を念頭に、「行事」や「外出支援」等、生活圏の拡大を図っていきたいと思います。
少子化による「人口減少」が進み、どの職業でも「職員採用」で頭を悩ましていると思います。とりわけ福祉業界のような「人間相手」の職業においては、機械やロボットがご利用者様の支援をしてくれるはずもなく、人集めに日々、奔走している状況です。やり甲斐を感じられる仕事で、無くてはならない仕事ではありますが、賃金に見合った報酬を得られないとのことで、家族や学校の先生に「やめておいた方がいいよ」と言われるのだとか・・・。何ともやりきれない思いです。国がもう少し、仕事に見合った報酬を保障してくれればと思います。そうは言っても、財源となる社会保障給付費が毎年上昇し、財源が「税金」「保険料」「自己負担」「国債」である以上、一朝一夕にはいかないでしょう。その他にも「職員教育」「メンタルヘルス」「感染対策」様々な災害に対応した「BCP対策」等、課題は山積しています。職員一人ひとりが目標を持って楽しみながら仕事ができるよう、後押ししたいと思います。
さざなみ学園は令和4年度、「老朽改築事業」の申請を東京都に提出し、令和5年9月に内示を戴き、同年12月に入札、今年2月に地鎮祭が執り行われ本格的な工事が始まりました。完成は令和7年1月の予定です。その後、2月、3月に現在の施設を取り壊して更地にしてこの事業は終了となります。今年4月、さざなみ学園は開設から40年目を迎えます。この節目の年に新施設が完成することは、この上ない喜びです。そういう意味で、今年度はさざなみ学園にとって、期待に満ち溢れた希望の年です。新施設は、さざなみ学園保護者会、ご利用者、職員の長年の願いでした。建物に負けないよう、ご利用者様の幸せ実現のため、「意思決定・形成・表出支援」を実行して参ります。
最後に新施設建設に関してご尽力戴いた行政機関(東京都、福島県、西郷村)、地域住民の皆様、設計事務所、建設会社、取引業者、法人後援会、さざなみ学園納入会、さざなみ学園保護者会、法人役職員の皆様に改めてお礼申し上げます。
1.重点目標
(1)人権擁護・虐待防止の徹底
絶対に虐待は許されません。改正された「虐待防止の指針」に基づき、「虐待防止・人権擁護委員会」を中心に、研修等を通じて職員教育を徹底し、「不適切な支援撲滅」について学び、関わり方(対応)を検討します。
@虐待防止自己チェック表(県の知的障害者福祉協会−人権倫理委員会作成)による「主観的評価・客観的評価」の定期調査の実施(年1回)。
A「虐待の芽(不適切支援)チェックリスト(20項目)」の中から月間目標(4つ)を掲げ、毎月、「自己評価と」と「部署内評価」を実施し、お互いに注意できる環境を構築する。
B内部研修や外部研修を通して、人権意識の高揚を図る(年複数回)。
C不適切な支援に関して検証を行う(毎月)。
D「身体拘束の適正化のための指針」に基づき、身体拘束の定期的な見直しのための会議、職員に対し、身体拘束等の適正化のための研修を定期的に(年2回)実施する。
(2)利用者サービスの質の向上
ご利用者やご家族に対して満足のいくサービスを念頭に、「利用者主体」のサービスを心掛ける。
@新施設に向けた体制の構築
来年1月の新施設移転に向けて、「利用者の障害特性等の理解」「支援技術の向上」「チームワーク」「ユニットの理解」「欠員補充」を念頭においた「利用者や職員の編成」「研修(見学を含む)」「利用者獲得のための取組」を行う。
A個別支援計画の質の向上。
B意思決定支援を尊重(理解)するための学習会の開催。
※地域生活移行を希望する者への支援の強化。
C行動支援計画作成スキルを磨く。
D重度・高齢化に伴う日課の見直し。
(3)リスク管理
自然災害、感染症、情報漏えい、事故等あらゆるリスクに備え、利用者や職員の安全を保障する体制を構築する。
@毎月の防災訓練(火災・地震・水害)。
A神奈川県相模原市の殺傷事件を受けて、年1回の防犯訓練実施。
B感染症対策(マニュアル見直し・内部研修等)。
※「新型コロナウイルス」に関する新着情報の収集と発信(情報共有)を心がける。
C個人情報セキュリティ対策の強化(定期的な検証及び見直し)。
D令和6年4月1日から「感染症対策の強化」「業務継続に向けた取組の強化」が義務付けられたので、確実に実施できるよう、想定した研修を一人、最低年1回実施する。
(4)職員の資質向上と人員確保・育成。
さざなみ学園の運営を支えるのは、職員一人ひとりの福祉に携わる人間としての「倫理観」「専門的知識・技術」「気づき」です。自分の仕事に責任を持ち、自信を持って支援しなければなりません。そのために、階層別にOJT(職場を通じての研修)やOFF-JT(職務を離れての研修)を積極的に企画していきます。
人員配置は3月までは「2:1」を維持してきましたが、4月から「2.5:1」となってしまいます。人材確保が厳しい中、以下に記したさまざまな媒体を通して良い人材を「確保」できるよう努め、職員面談、研修や教育・考課制度を使った「育成」「教育」を通し、働きやすい職場環境を作り、「定着」を図っていきたいと思います。
@資格取得(法人研究助成制度)・キャリアパス支援(階層別研修)。
A人事考課の導入。
B様々な媒体(ハローワーク、学校訪問、求人広告・就職サイト、派遣・紹介等)を使った求人。
C研修制度の充実(OJT/OFF-JT)。
D施設長との3カ月に1回の職員面談を実施する。
(5)サービス内容の検証・改善
「東京都福祉サービス第三者評価」を受審し、不十分な項目の取り組み及びさざなみ学園の「強み」と「弱み」の把握及び検証・改善を行う。
@「サービス向上委員会」「サービス調整会議」「企画運営会議」「職員会議」等での検証・改善。
(6)ご家族との連携と深い信頼関係の構築
利用者支援において、ご家族との信頼関係は必要不可欠です。必要に応じて施設側から情報を発信し、風通しの良い関係構築を図っていく。
@@ 面会日(通常面会、全体連絡会、行事、懇談会等)を通して、相互の「情報交換」、「交流」「親睦」を深める。※現在、「新型コロナウイルス感染症」により、「面会日」を設定しての面会は中止しているが、個人単位での面会は一昨年12月より「条件付け」により再開している。又、昨年度は、感染状況が落ち着いていた7月に行事抱き合わせで面会を実施した。今年度も出来る限り実施していきたい。
A必要に応じた情報の提供(電話・文書・ホームページ・インスタグラム・広報誌・げんき通信等)。
(7)住環境の整備
重度・高齢化に伴い、バリアフリーや危険個所の改善、その他合理的配慮に視点を置いた施設整備を行う。
@施設整備:「移転・改築」を視野に入れながら、怪我のない快適な生活を目指し、必要最低限の「修繕」「改装」「機器導入」を図る。
A「新型コロナウイルス」が収束するまで、感染防止のための環境づくりを継続していく。
(8)地域貢献事業の推進
地域に根ざした福祉事業を展開する上で、地域のニーズを把握し、「障害者支援施設:入所施設」としての機能・技術を活かしたサービスを提供する。又、備品等の貸し出しも行う。
@地域のニーズとして「短期入所」を希望される方が増加している。可能な限り受け入れ出来るよう、関係機関と協力し、受け入れる側の環境整備をしていく。
A近隣イベント(販売・見学等)に参加し交流を図る。
B備品の貸し出し。
Cボランティアや学生(実習生)の受入れにより、将来の福祉の担い手の育成を図る。
D「自立支援協議会」「東北南ブロック関連施設(東京都委託施設)」「関東東ブロック会議(東京都委託施設)」と連携して災害時の協力、地域生活移行等に関して、定期的に情報交換を行う。
※感染状況を見ながら、活動を拡大・再開していく。
さざなみ学園
施設長 佐川 滋
利用者様への虐待防止に関する指針
身体拘束等の適正化のための指針