コラム

介護職員処遇改善交付金の行方

社会保障審議会介護給付費分科会(10月17日開催)で来年度以降に介護職員を対象とする「処遇改善加算(仮設)」を創設することが提案されました。

現行の「介護職員処遇改善交付金」が今年度で終了することを踏まえ、「処遇改善加算」という形で、介護保険の財源の中で賄う方法に切り替える方針です。

「処遇改善加算」の加算単位数は、まだ示されていませんが、加算要件の案として、

  1. 報酬改定前(平成23年度末)の賃金額を下回らないこと
  2. 加算額を本給で支給する割合を一定割合以上とすること
  3. 現行のキャリアパス要件を満たすこと
  4. 現行の定量的要件を満たすこと
  5. 給与規程等に職員の処遇について経験年数や実務能力を加味することを明記すること

この案に対し、分科会出席の委員からは批判意見が数多く上がり、結論が出るまでしばらくの間、審議が続くものと思われます。

分科会資料を添付致しますので、ご参照ください。

◆ 添付資料 介護報酬において処遇改善措置を実施する場合の考え方について(pdf)

24時間定期巡回・随時対応型訪問介護看護の議案

9月22日に開催された社会保障審議会介護給付費分科会で24時間定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービスの人員基準と報酬について、審議が行われました。

まだ「案」としての状況ですが、これからこの「案」をベースに本格的な審議に入り、12月には法案として固まる見込みです。
今回審議された「案」によると、

1.人員基準

訪問介護員
常勤換算4.2人以上
看護職員
サービス提供に必要な数以上(具体的な数字は示されず)
※看護サービスについては、訪問看護事業所との連携でも可
オペレーター
サービス提供時間帯を通じて専従1名以上(兼務可)
計画作成責任者
居宅介護支援事業所と共同でケアマネメントを担当する者
(具体的な数字は示されず)
管理者
※資格要件等は別紙添付資料をご参照下さい ▼下へ▼

2.オペレーションセンターの設置

利用者300人に対して1か所設置(参考値として夜間対応型訪問介護の基準値を提示)
※利用者の人数が少なく十分な対応ができる場合設置しないことができる。

3.介護報酬

「案」として示されず、まだ考え方に止まっています。
※詳細は別紙添付資料をご参照下さい。 ▼下へ▼

また、審議会に提出された24時間定期巡回・随時対応訪問介護看護サービスの訪問イメージを添付いたしますので、こちらもご参照頂ければと存じます。

◆ 添付資料 定期巡回・随時対応サービスの人員基準・介護報酬の考え方(pdf)

2011年7月4日 セミナー「2012年度介護保険法改正とサービス付き高齢者向け住宅」のご報告

介護事業援護会セミナー風景2011年7月4日に札幌市かでる2・7で「2012年介護保険法改正とサービス付き高齢者向け住宅」セミナーを開催しました。会場は、満員御礼で90名近くの介護事業者の方にご参加を頂きました。本当にありがとうございました。

講師は日本介護経営研究会専務理事で介護事業援護会の理事でもある小濱様に講演して頂きました。

今回の改正で新たに創設される「24時間対応定期巡回・随時対応型訪問介護看護」と「介護職員の医療行為」は、訪問介護事業者にとって差別化を図るチャンスであり、長期的な視点に立って考えるべきで、短絡的に判断することは禁物であること。

「サービス付き高齢者向け住宅」は、これから急速に進む日本の高齢化社会の中で住まいの中心的な役割を果たす存在になる可能性が高いこと等、今後の介護業界を占う貴重なご意見を頂きました。

セミナー後も、ご相談、お問い合せを数多く頂いております。今後は無料相談で個別に対応させて頂く予定です。

2011年5月20日 サービス付き高齢者向け住宅の募集について

5月18日に「サービス付き高齢者向け住宅整備事業事務局」より、平成23年度の募集要領が公表されました。

応募する上での重要ポイントをまとめましたので、ご参考にして頂ければと思います。 詳細資料及び応募様式につきましては、事務局のホームページよりダウンロード出来ますので、そちらをご参照ください(http://www.koreisha.jp)。

1.募集に関すること

・補助金の交付を受けることが出来る事業は、平成23年度中に事業(工事)に着手するものを対象とし、補助事業の期間は最長3年とする。
 ※ 年度をまたぐ場合には、年度毎に申請が必要

・平成23年度の募集期間は平成23年5月30日から平成24年1月(予定)

・整備しようとする敷地を定め、その敷地単位ごとに応募する。また、事業の要件に適合することを確認出来る書面を提出する必要あり。
 ※ 応募するには、土地の確保と図面(配置図、平面図等)が必要

・補助金をもらうには、事業(工事)に着手する前に「事業の応募」と「補助金の交付申請」の2段階の手続きを経る必要がある。
 ※ 「事業の応募」→事業の採択通知と「補助金の交付申請」→交付決定通知
   を受理してからでないと工事着工ができない。その前に着手したものは対象外

補助金の支払いは平成24年3月末となる予定。また、補助金は事業(工事)実績完了報告書を提出した後に支払われる。

2.補助金に関すること

・サービス付き高齢者向け住宅の新築(増築)
 建設工事費の1/10 上限 住宅部分:一戸100万円 施設部分:1000万円

・サービス付き高齢者向け住宅の買い取り(登録基準適用物件)
 買い取り費用の1/10(土地代は対象外) 上限 上記と同じ

・サービス付き高齢者向け住宅(改修工事要)
 @取得費用の1/10(土地代は対象外)
 A改修工事費用の1/3(供用部分のみ対象)
 Bバリアフリー、緊急通報装置等の費用の1/3  上限 @+A+B=上記と同じ
 Cエレベーター設置工事費用の2/3   上限 一基1000万円

・補助対象とならない費用
 調査費、設計費、申請手続き(建築申請等)費用、土地開発等の負担金、敷地外の費用(上下水道の接続等)、移動可能なエアコン、ナースコール、調理器具等

3.提出書類に関すること

・提出書類は以下の通りです。
   申請書(様式S1−1 〜 様式S1−4)
   登録基準の適合性確認書類(別紙、別添1 〜 別添6)
   添付書類  事業予定地の位置図
         申請建物の配置図
         申請建物の平面図
         住宅タイプごとの平面詳細図
         工事費内訳書(工事見積書)
         補助要望額の算出根拠資料

サービス付き高齢者向け住宅の登録基準は、これまでに発表された内容に変更はありません。
ただ、現時点では法律として成立はしていますが、省令等で今後変更される可能性があます。
また、都道府県が高齢者居住安定確保計画において別の基準を定める可能性がありますので、あらかじめ都道府県の住宅部局に確認されるほうが良いでしょう。

2011年3月9日 セミナー「2012年度介護保険法改正の行方&対策」のご報告

2011年3月9日に札幌市社会福祉総合センターで「2012年介護保険法改正の行方&対策」セミナーを開催しました。会場は、満員御礼で多くの介護事業者の方にご参加を頂きました。本当にありがとうございました。

第1部は、日本介護経営研究会専務理事の小濱先生より2012年度介護保険法改正の最新情報を分かりやすく講演して頂きました。

今回の改正で新たに創設される「24時間対応定期巡回・随時対応型サービス」と「サービス付き高齢者住宅制度」について、細部にわたり解説され、出席者の方も食い入るように聴かれていました。

第2部は私、介護事業援護会代表理事の佐藤が受け持ちました。

2012年度の介護報酬改定ではプラス改定は望めないこと、その対策としてお泊りデイや家事代行サービスといった介護保険外での自主事業の推進とサービス付き高齢者住宅の取り組みについて、ご提案申し上げました。

2010年12月6日 新「高齢者住宅制度」創設へ

国土交通省と厚生労働省の両省は、現行の高齢者専用賃貸住宅と有料老人ホームを再編し、ハード・ソフト面で一定の基準を満たした「サービス付き高齢者住宅」(仮称)制度を創設することを決め、来年の通常国会に改正案を提出する方針です。

両省の案では、新住宅の基準は

@居室面積 原則25平方b以上
A段差を取り除くバリアフリー設計
B見守り職員が常駐

これらの基準を満たす住宅には、国が建設費(10分の1、一戸あたり100万円が上限)や改修費(3分の1、一戸あたり100万円が上限)を補助する。

早ければ来年度中にも申請の受付が始まるもようです。
現在ある高専賃の制度は廃止され、有料老人ホームはそのまま存続させる見込み。

現行の高専賃の中には介護事業所を併設して有料老人ホーム並みの介護サービスを提供しているところもあり、似たような住宅が両制度にある分かりにくさを解消する狙いもあるようです。

2010年12月4日 介護保険制度見直しに強い不安

介護保険制度見直しが最終段階を迎えているが、利用料が2割負担になった場合、40%超がサービスを減らすか、利用しない、ケアプランの有料化に関しては20%強が利用をやめると考えていることが、道民医連の調査で分かった。

利用料のアップに関しては「これまで同様にサービスを利用する」とする容認派は4.2%にとどまり、44.6%が「サービスを減らす」あるいは「利用しない」と回答している。また、26.9%の利用者が「どうしたらいいか分からない」と戸惑いをみせている。

ケアプランの有料化では「別にかまわない」はわずか3.8%で、「我慢しても作成してもらう」との回答が35.1%を占めた。また「有料になったらやめる」と回答した利用者が23.1%で4人に1人がサービスの中止をせざるを得ないと考えている。

調査結果を受け道民医連は「今回の改正案が利用者・家族に動揺を及ぼし、賛同を得られないのは明らかだ」と分析している。

2010年12月3日 「史上最悪の改正」与野党とも反対

12月1日「介護保険制度改正の焦点検討」をテーマに、6つの政党を招いた公開討論会が開かれました。

討論は大まかに、

・ケアプランの1割自己負担化、区分支給限度額の今後
・24時間巡回、宿泊付デイなど新たな在宅介護支援の方向性
・軽度者に対する生活援助切り捨ての是非

中でも、大きな議題の1つとなったのは、軽度者に対する生活援助の切り捨て。 「高齢者にとって医療保険は年間70%の人が利用する身近なもの、比べて介護保険は16%と‘掛け捨て’感が強いんです。その上、中重度者へシフトすればますます公平感は薄まる。冗談じゃありません!」

社民党の○○氏も「平成18年度の改正で要支援1・2の方々を勝手に叩き出しておいて、今度は230万人にのぼる要介護1・2の方々を追い込むとは・・・。」

自民党の○○氏は「今回の切り捨てによる縮減は120億円程度にしかならない。ヘルパーと一緒に料理すると2,000円かかるところを、弁当宅配の500円に節約したとして、それが本当に介護の考え方と言えるのかを問いたい。」と述べた。

その他の民主党、公明党、共産党、みんなの党いずれも、軽度者への援助縮減には反対の立場を示しました。

施行10年の節目の検証作業と、ねじれ国会が重なったこともあり、今年5月から13回開催された介護保険部会がまとめた制度改正の意見書でも、未だに賛否両論を併記するに留まっています。
今月中(12月)に厚労省が介護保険制度改正案をまとめ、来年2月の通常国会に提出し、審議入りとなる運びとなっていますが、国会運営を含め、まだまだ紆余曲折がありそうです。

介護保険制度は何処に行こうとしているのか。
国民が本気になって考えなければならない時期を迎えています。

2010年12月2日 高齢者虐待 1万5700件に

高齢者への虐待件数が2009年度、1万5691件(前年度比5%増)に上ったことが厚労省の調査で分かりました。内訳は、家庭内での虐待が1万5615件、介護施設内が76件です。

介護施設内での虐待に関する相談・通報件数は408件あり、平成20年度の451件に比べ43件(9.5%)の減少でした。

相談・通報者の内訳は次の通りです。

1位・・・当該施設職員 123件(30.1%)
2位・・・家族・親族 105件(25.7%)
3位・・・当該施設元職員 51件(12.5%)
4位・・・不明(匿名等) 41件(10.0%)

このうち、行政が「事実確認を行った事例」は362件、「事実確認を行わなかった事例」は61件であり、「事実確認を行った事例」の中で虐待の「事実が認められた事例」が68件(北海道は4件)、虐待の「事実が認められなかった事例」が192件、虐待の「判断に至らなかった事例」が102件との結果です。

「虐待の事実が認められた事例」を施設・事業所別でみると

1位・・・特別養護老人ホーム 23件(30.3%)
2位・・・グループホーム 17件(22.4%)
3位・・・介護老人保健施設 11件(14.5%)

 ・
 ・
 ・
訪問介護 3件(3.9%)
通所介護 2件(2.6%)

行政側の対応は、「施設等に対する指導」が61件、「改善計画提出依頼」が46件、「従事者への注意・指導」が14件であったそうです。

2006年度に高齢者虐待防止法が施行され、行政の実地指導でも重点項目として高齢者虐待防止に取り組んでいますが、高齢者虐待件数は介護施設内も含め3年連続で増加しており、また利用者の介護度は高まることを考えれば、虐待に対する職員への教育と虐待を防止する仕組作りを今後も継続して行っていく必要があると思われます。

2010年11月6日 H24年度介護保険制度の改正に向けて

厚生労働省は、10月28日に開いた社会保障審議会介護保険部会に、高所得者や軽度者の利用者負担引上げ、ケアプラン作成の利用者負担導入など、給付・負担見直しの方針を出しました。

多くの学識経験者などからは必要性を認める声が上がり、事業者など関係団体からは強い反対意見が出されました。

複数の委員は具体的な試算を基にした議論を求め、11月19日開催予定の次回部会にこれら見直しに伴う財源効果、財政への影響が提示される模様です。

今回の部会で検討された見直しの論点は以下の通りです。

利用者負担

・高所得者の利用者負担引上げ
・ケアプラン作成(介護予防支援含む)の利用者負担導入
・補足給付に入所前世帯の負担能力、保有資産などを考慮し、支給要否判定
・多床室入所者への室料負担

軽度者に対する給付

・軽度者の利用者負担引上げ
・生活援助など軽度者の給付縮小

被保険者範囲

・40歳未満にも拡大

公費負担引上げ

・公費負担割合を5割から6割に引上げ
・調整交付金の外枠化
・補足給付の公費負担化
・地域支援事業費の公費負担化

現在の保険財政から考えても利用者負担増は避けられない見込みです。
H24年度介護保険制度改正に向けた動きに、今後も注目して行きたいと思います。

2010年10月21日 セミナー「実地指導のポイントと心構え」のご報告

セミナー10月19日、札幌市社会福祉総合センターで「実地指導のポイントと心構えセミナー」を開催しました。

講師は、日本介護経営研究会専務理事の小濱道博氏。実地指導について、指定取り消しの実態や指導の傾向と対策など、自身が関わった多くの事例を交え、事前準備、指導の受け方のノウハウを具体的にご紹介して頂きました。

特に「常勤換算や勤務実績表は、1カ月単位で算定し、人員基準確保の根拠を明確にすること」「個人情報の取り扱いは、利用者本人だけでなく、ご家族の同意も必要であること」を強調。「防災訓練や職員研修実施の際は、必ず写真を撮りファイルしておくこと」をアドバイス。

出席者の方もセミナーの内容に満足されたご様子でした。小濱先生、ありがとうございました。

2010年10月8日 H24年度介護保険制度改正の提言内容

社会保障審議会介護保険部会が10月7日開かれ、委員から今回の法改正と将来的な提言について、意見が交わされました。

その中からポイントとなる論点をまとめてみました。

第34回社会保障審議会介護保険部会(平成22年10月7日開催)より抜粋

介護保険制度改革の課題

・要介護認定区分を、7段階から要介護度を3段階に簡素化する。

介護職の地位向上と更なる処遇改善

・介護福祉従事者の処遇改善を時限的措置とするのではなく、継続的に推進していくために、少なくとも介護サービスに従事する全ての職種を対象とするとともに、国費によって「処遇改善交付金」を継続することが必要である。

特養入所待機者42万人解消:特養ホーム20万床の緊急整備

・「全室個室ユニット」以外認めないという施設整備方針は、地域の実情や高齢者の実態(所得と負担能力及び重度化に伴うケア)と乖離している。地域性等を踏まえ、事業者の判断において、「全室個室ユニット」以外の特養整備についても認められるよう柔軟な対応を図るべきである。

低所得高齢者、社会的弱者の生活権を守る

・食費、居住費に対する「補足給付」に関わる財源については公助の制度として、公費負担により確保されるべきである。

・「個室ユニット」による居住環境の改善を優先するためには、生活保護を含むすべての高齢者が利用できることが大前提である。

地域包括支援センターの機能強化

・地域包括支援センターの役割を、高齢者・障がい者に関わる総合相談援助機関として再構築し、地域におけるワンストップサービス体制の確立を図るべきである。

検討すべき財源確保方策

・利用者負担の見直し: 高所得者の利用者負担の見直し
居宅介護支援への利用者負担の導入

・被保険者・受給者の年齢引き下げ

これからH24年度の制度改正に向け、具体的な方策が逐次出されると思います。今後の推移に注目して行きたいと思います。

2010年8月16日 キャリアパス要件 〜その2〜

キャリアパスの「Q&A」

平成22年3月30日付で厚生労働省より、キャリアパス要件に関する「Q&A」が出されました。 全部で20問の記述です。その中でも特に重要なものを解説します。

(問1、 問3)要件@で必要な書面について
  • 就業規則(常勤雇用10人以上)
  • 賃金規定等(キャリアパス含む)添付

1及び2の内容について、就業規則等の明確な根拠規程を書面で整備し、すべての職員に周知すること。

(問5)職位と人員配置について
  • 新たに作った職位(ポスト)が空席でも良い
(問7)賃金体系の定めについて
  • 職位に応じた基本給、職位(役職)手当等の定めが必要
  • 但し、上記に交付金を充当するか否かは問わない
(問10、問11、問13)要件Aで作成するもの
  • 教育、研修の目標と計画
  • 個人面談記録、レポート等の能力評価記録
(問8)要件Aを選択できる事業所について
  • 少人数の事業所(ポストが限られる)
  • 法人の運営理念になじまなない
  • 現在人事給与体系の整備中

要件Aを選択できればキャリアパスを作らなくても良い訳ですから、面倒なことをしなくても済む訳で楽と言えば楽です。その条件として示されたのがこの問8です。

まだ少し分かりづらい点もありましたので、厚生労働省の担当者に直接問い合わせたところ、こんな答えが返ってきました。

私: 少人数とは何をもって判断するのか?
担当者: 何人以下という明確な数字はない。事業所によって雇用形態も様々であり、一概に何人以下というラインを引くことはできない。事業所の実態に合わせた常識の範疇で判断する。
私: 運営理念になじまない、とは具体的どんなことか?
担当者: 経営者の考え方で、職位等を決めずフラットな組織形態で運営する、ということも当然あり得る。キャリアパスは一種、上下関係とか責任と権限を明確にする、という意味合いがあり、そうなると経営者の組織運営の考えにそぐわなくなる可能性がある。
私: 人事給与体系の整備中、とは具体的にどんな事象を想定してのことか?
担当者: 9月末までにキャリアパスを作ることが時間的に無理な事業所も出てくると思われる。例えば組合がある事業所では経営者の一存で簡単に決められることではない。9月の末の時点ではまだ検討中、整備中であった場合の救済措置としての意味合いだ。

厚生労働省の担当者から話を聞いて分かったことは、
行政がキャリアパスを強制的に事業所に押し付けようするものではないということ。キャリアパスは人事であり、行政が立ち入るべきではないし、まして強制されるものではないということです。

人事のことは、各事業所が決めるべきことであり、外部の人間があれこれ注文を付けることではありません。行政が言っているのだからと盲目的に従っていたら、後で痛い目に会うのは事業所自身なんですから。

形だけのキャリアパスなら作らない方が良いと思います。就業規則等の書面で明示すれば、もう後戻りはできません。介護職員処遇改善交付金がなくなってもキャリアパスを運用し続けなければならなくなるということなんです。

キャリアパスを導入するのであれば、その目的をまず明確にすること大切です。交付金が10%減額されるから、だけが目的であれば、キャリアパスの導入をお勧めできません。導入しない方が良いくらいです。
10%減額されたところで、事業所の収益には何も影響しませんので・・・。交付金はすべて職員の給与等になる訳で、事業所には1円も残りません。残したら、返納しなければなりませんよね。

大切なことは、職員と話し合うことです。キャリアパスを作るのか、それとも10%減額を受け入れるのか。 キャリアパスを作るのであれば皆さんに協力してもらいますよ、ということを職員の皆さんと話し合われ、合意の上で進めることが先決ではないでしょうか。

そしてもし、キャリアパスを作ろう、導入しよう、ということになれば、キャリアパスを使って何をするのか、その目的をはっきりさせ、職員と共有することです。

私は今回出されたキャリアス要件を自組織を見つめ直す良い機会として経営者の方に捉えて頂きたいと思っています。

9月末までの期間を利用して、自組織のあるべき姿を真剣に考え、職員の成長と組織力の強化に資する仕組をキャリアパスで実現されてはいかがでしょうか。

これから介護業界は競争の時代に入ります。他の介護事業所より優位性を持つことが競争を生き残る必要条件になります。

是非とも前向きにこのキャリアパスに取り組まれ、事業所経営の安定と成長の基盤作りをする絶好のチャンスと捉えて頂きたく願っております。

2010年7月20日 キャリアパス要件 〜その1〜

厚生労働省から平成22年3月5日にキャリアパスに関する要件が出されました。この要件を満たさない場合は、介護職員処遇改善交付金の10%の減額、定量的要件も合わせると20%も減額されることが明記されました。 「介護職員の確保・定着の推進を図るためには、能力・資格・経験等に応じた処遇がなされることが重要である」との厚生労働省の見解のもと、キャリアパス要件が平成22年10月より追加されます。

これにどう対応したら良いか、介護事業者は意思決定をしなければなりません。頭の痛い話です。今回は、キャリアパス要件と定量的要件にどう対応したら良いか、その意思決定をする際のご参考にして頂く資料としてポイントをまとめました。

介護事業経営者に判断材料となる情報をコンパクトにお伝えします。

介護職員処遇改善交付金の現況

まず、今回のキャリアパス要件のもとである、介護職員処遇改善交付金の現況についてご報告します。

平成21年度の申請率は80%(厚生労働省H21.12.31)でありました。80%に留まったと言った方が良いのかもしれません。厚生労働省や自治体の福祉課がこの交付金の促進、奨励の懸命の努力をして、なんとか80%までもってきたというのが現状です。

逆に言うと、20%の事業所で交付金の申請をしていないことになりますから実にもったいないことだと思います。そこで働く職員の方々はどう思っているのか・・・。他の事業所の職員は昇給や一時金として交付金を貰っているのに、うちでは貰えない。「国が私たちに出してくれたお金なのにどうして貰えないの」と不満の声が聞こえてきそうです。

介護職員処遇改善交付金を貰えるように工夫することを経営者が怠ったと言わざるを得ません。せっかくの制度です。必ず貰うようにしましょう。

平成22年度の申請率も80%(厚生労働省H22.3.31)であり、状況は変わっていません。平成21年度に申請した事業所は平成22年度も申請し、申請しなかった事業所は平成22年度も申請していない様です。

介護職員処遇改善交付金の職員への支給方法ですが、厚生労働省が実施したアンケート調査によると、一時金により支給した事業所が68%、基本給や毎月の手当で支給した事業所が32%という結果が出ています。やはりこの交付金が平成24年度末までの時限付き給付であることから、一時金で支給した事業所が多かった様です。

行政の施策に振り回されたくないと言うのが介護事業経営者の胸中ではないでしょうか。

介護従事者の処遇状況

もう一つ、介護職員の処遇に関する調査結果をご報告させて下さい。

厚生労働省が調査した「平成21年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、平成21年度に給与等を上げた事業所の割合は81.6%。平均増加額は月額8,930円で月給者が月額9,460円、日給者が月額1,590円の増加であったそうです。(←詳細は厚生労働省のホームページで閲覧出来ますので、ご参照ください。)

リーマン・ショック以降、日本はデフレ不況にあり厚生労働省の企業統計によると平成21年度の全業種の賃金アップは平均で月額3,083円でした。

これと比べると介護業界の平成21年度の賃金の増加額は大きな伸びであると言えますね。平成21年の報酬改定3%アップと介護職員処遇改善交付金の給付が要因であるとに間違いないでしょう。

キャリアパスの要件

ここから本題であるキャリアパスについて、厚生労働省から出された要件とそれにどう対応すれば良いのかについて、お伝えします。

ご承知の様に、平成22年3月5日に厚生労働省より、キャリアパスに関する要件が出されました。

要件@
  • 介護職員の職位、職責又は職務内容等に応じた任用等の要件を定めること。
  • 1に掲げる職位、職責又は職務内容等に応じた賃金体系(一時金等の臨時的に支払われるものを除く)について定めること。
  • 1及び2の内容について、就業規則等の明確な根拠規程を書面で整備し、すべての職員に周知すること。
要件A
要件@によりがたい場合は、「資質向上のための目標」と「具体的な取り組み」を定めること。
 

これは3月5日に開催された全国介護保険・高齢者保健福祉担当者会議にて審議されたキャリアパスの要件です。 いかにもお役所らしく、抽象的な表現に留まっており、具体的な取り扱いについてまで踏み込んだ表現になっていません。これらの要件の取扱は「Q&A」に委ねられることになりました。

先にこの要件のポイントについて要約すると、
・事業所の規模等に合わせて要件を2つのパターンに区分した。
・規模の大きな事業所は就業規則等の書面での整備が必要である。
・小規模の事業所は、「資質向上のための目標」と「具体的な取組み」を定めるだけで良い。
・どちらの場合でも職員への周知が必要である。

いずれにしても、この時点ではっきりしたことは、平成22年9月末までに要件@又は要件Aを満たさなければ、介護職員処遇改善交付金を10%減額するとういことです(同時に定量的要件に関しても10%減額が明示されました。←詳細については後述)。

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